キミに、愛と思いやりを

登校中に、あたしは麗羅の姿を見つけた。



「麗羅ー、おっはよう!」



あたしの声に気がついて、麗羅はサイドテールの髪を揺らしながら振り向いた。



「おはよう、花蓮! いやー、寒いねー」



少し麗羅の頰は、赤くなっている。



「うん、雪降るかなぁ」



「降ったら、結構帰りが大変なことになりそうだね」



辺りを見回すと、芝生の上には霜ばしらがチラホラあったり、木には葉がなかったりすっかり冬の景色になっている。


前まであった枯葉も、掃除されたのか、かなり少なくなっていた。
冷たい風が、ぴゅうーっと吹いてきてスカートに邪魔されては抵抗して吹きすぎていく。


宇野くんのところへ行かなくなってから、もう数週間が経っている。
あれから、宇野くんや晴翔くん、来翔くんとは会っていない。




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