キミに、愛と思いやりを

「わっ、雪だ!」



5時間目の授業に、窓際にいた男子達が騒ぎ始めた。


その声に思わず反応して、窓の方を眺めると雲で覆われた天から、粉雪が降ってくるのが見えた。



「雪じゃん!」



小学生みたいに、はしゃぐ男子もいれば、



「あー、だっりぃ。帰り、ぜってえ滑るだろ」



という男子もいる。



「そういえば天気予報にも雪降るって言っていたような、言ってなかったような……」



あたしの前の席にいる女の子が、そう独り言を言ったのが聞こえた。



「はい、雪はいいから授業に集中しなさい! もう子供じゃないんだから」



先生がパンパンと手を叩いた。



「先生、僕たちまだ未成年っすよー」



「そういうのいいから」



先生は、くるりと背を向けて黒板にチョークで再び文字を書き始めた。




< 137 / 167 >

この作品をシェア

pagetop