キミに、愛と思いやりを
「わっ、雪だ!」
5時間目の授業に、窓際にいた男子達が騒ぎ始めた。
その声に思わず反応して、窓の方を眺めると雲で覆われた天から、粉雪が降ってくるのが見えた。
「雪じゃん!」
小学生みたいに、はしゃぐ男子もいれば、
「あー、だっりぃ。帰り、ぜってえ滑るだろ」
という男子もいる。
「そういえば天気予報にも雪降るって言っていたような、言ってなかったような……」
あたしの前の席にいる女の子が、そう独り言を言ったのが聞こえた。
「はい、雪はいいから授業に集中しなさい! もう子供じゃないんだから」
先生がパンパンと手を叩いた。
「先生、僕たちまだ未成年っすよー」
「そういうのいいから」
先生は、くるりと背を向けて黒板にチョークで再び文字を書き始めた。