キミに、愛と思いやりを
授業を終えて、下校しようと思うとまだ粉雪は降っていた。
黄緑色だった芝生の上には、雪が積もって白くなっている。
歩が通っている高校を通って帰ろうとすると
校門で、歩が出てくるのが見えた。
「あ、歩ー!」
「花蓮!」
あたしの声に反応して、歩は顔をほころばせた。
「明日さー、またデート行く?」
「うん! どこにしよっか」
「どこでもいいよ……。あっ、こないだ行ったパンケーキカフェで、食事系のパンケーキを頼んで昼ご飯食べる?」
確かに、あそこで甘くないパンケーキもメニューの裏表紙にもあったな。
……実を言うとあたし、食事系パンケーキを人生で一度も頼んだことがない。興味を持つことがあっても、時間だったり、頼む勇気がなかったりするだけで全然頼めていなかった。
でも、歩と食事系パンケーキを食べにいくとなると、もう頼まなざるを得ないよね。
「あー、それもいいなあ!」
「ん? あそこにいるのは……宇野?」
いきなり、目を丸くして歩は真正面を見た。
そこには確かに、宇野くんの姿が見えた。
「ほんとだ、宇野くんだ!」
「小園さん、仙谷!」
あたし達に気がついて、宇野くんは手を振ってきた。
「元気そうじゃん」
「まぁな。小園さん達がいた頃はにぎやかだったから、最初は寂しそうにしているあいつらも、少しすればいつものように母ちゃんにべったりだぜ?」
晴翔くんも来翔くんも、元気そうなんだ。
よかった。