キミに、愛と思いやりを
不意に宇野くんのスマホから、着信メロディが流れた。
宇野くんはスピーカーフォンにして、応答ボタンを押す。
「もしもし?」
『翔太か!?』
「翼(つばさ)? どうしたんだ?」
友達かな。
それにしても宇野くんが翼と呼んだ男の子の声は、だいぶ焦っているように聞こえたんだけど、何かあったんだろう。
『明(あきら)がバイクで事故に遭った……』
「え!?」
『バイクと車が衝突したっぽい』
『車!?』
『そっからの話は後! とにかく病院来て!』
電話が切れた後も、宇野くんはぼーっとしたままだ。
無理もないけれど、そんな時間はない。
「行こう、宇野くん!」
あたしの声が聞こえていないみたい。
「宇野! ぐずぐずしてる場合じゃないよ! 行かないと!」
歩の珍しい大声に、宇野くんは我に返ったみたい。
「分かった! すぐ行く!」
宇野くんは急いで病院に向かい、思わずあたしと歩も走り出した。