キミに、愛と思いやりを
病院に入ると、ソファで男の子達が腰掛けて暗い顔をしながら俯いていた。
「おい、どういうことだったんだよ。あいつ、バイクで事故になったこと、一度もなかったよな?」
友達に向かって、泣きそうな顔をして怒鳴る宇野くん。
「運転してた高齢者の車も、だいぶ暴走してたみたいだから」
目を真っ赤にして、1人の子が言った。
やがて看護婦さんもやってきた。
「い、命は助かるんですか!?」
「高杉 明(たかすぎ あきら)くんのことなのですが、まだ意識が戻っていません……」
暗い顔をして、看護婦さんが言った。
「そんな……!」
宇野くんはその場で、へなへなと座りこんだ。
「翔太!」
メンバーの1人が、宇野くんの肩を抱く。
そういえば電話の声と同じだ。
この人が、翼くんか。