キミに、愛と思いやりを
あれから、あたしは宇野くんの姿を見ても話しかけられなくなった。
晴翔くんや来翔くんのことが気がかりだったけれど、宇野くんは人に会わせられるような顔じゃなかっただろうし、もうお母さんも一緒にいるのでご飯は心配いらなかった。
歩も、直接は会いに行っていない。
ただ、気がかりだったようでメッセージは送り続けていた。
『宇野、気持ちは分かるけどあんまりいつまでもふさいでると、明くんもおちおち天国にも行けないだろうし、はやく立ち直れとは言わないけれど、明くんのこと信じてやれよ』
『宇野、調子どうなんだ? 明くんが心配するだろうから、心身大事にしろよ』
スマホでは、歩がそういうメッセージを送っているのが見えた。
「返事は来てる?」
「来てない。別に返事を待つために、僕はこうしてるわけじゃないんだし、いいよ。それよりも、はやく宇野がちゃんとした普通の生活を送れるようになってほしいし」
「うん、そうだよね……」
宇野くんは、そういえばお父さんを事故で亡くしているって聞いた。
身近にいる人が2人も同じことで失ったと考えると、口が開かなかった。