キミに、愛と思いやりを

あたし達の足はいつからか、宇野くんの家の近くまで進んでいた。



「花蓮お姉ちゃんと、歩お兄ちゃん?」



「あっ……」



気がつくと、見覚えのある顔をした小さな男の子が、黒いランドセルを背負って歩いてくるのが見えた。


この子、どっちかな?


双子で全く見分けつかないから、晴翔くんか来翔くんのどっちかわからないや。



「ええっと……」



「晴翔ならもうすぐ帰ってきそうだし、兄ちゃんも家の中にいるけど、呼ぶ?」



この発言をしてるっていうことは、来翔くんだね。



「ううん、いいの! お兄さん、きっと今は会いたくないだろうし」



「来翔ー!」



後ろから、同じ顔の男の子……晴翔くんが走ってきた。



「あれ、花蓮お姉ちゃんと歩お兄ちゃんだ。うちに用?」



「ううん、お兄さん、今は会える感じじゃなそうだから。あたしのことは、大丈夫」



「おまえら、どうかした?」



ドアが開いて、宇野くんが出てきちゃった……。




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