キミに、愛と思いやりを
「あれ、小園さんと仙谷?」
宇野くんは、あたし達の姿を見て目を丸くした。
「宇野くん……」
「兄ちゃんに会いにきたんじゃない?」
晴翔くんがそう言うと、宇野くんは口を結んで俯いた。
ここは、引き返しておいた方が良さそうだ。
「あの、ごめんね!? 勝手に来ちゃって。大丈夫、すぐ帰るから!」
あたしは歩の手を掴んで、来た道を引き返そうとした。
「いや、いいよ。……っていうか、待って」
背中の方で聞こえた声で思わず、足を止めて歩の手を掴む自分の手も緩めた。
「俺、2人と話したい……。予定があるっていうなら、とめないけど」
「あたしは予定ないから大丈夫だけど、歩は平気?」
「僕もない」
「あんた達、そこで何してんの?」
宇野くんの、お母さんの声だ。
前に会った時よりも、だいぶ元気そうな声をしていた声質は全く一緒だった。