キミに、愛と思いやりを
「あらまあ、花蓮さんと歩くんじゃない!」
お母さんが、ひょこっと顔を出してはあたし達を見つけてぱっと笑顔を見せた。
「お久しぶりです」
あたしは思わず、頭を下げた。
「来てくれて嬉しいわ。少し待っててね」
宇野くんのお母さんは、ほら上がんなさいよ、と言ってあたし達を家に入れてリビングに座らせ、緑茶とおせんべいを出してくれた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
「晴翔も来翔も食べなさい」
晴翔くんも来翔くんも、おせんべいに手を伸ばした。
「ごめんなさいね、花蓮さん。これしか用意できなくて。プリンとかカップケーキとか、そういった洋菓子があったらよかったんだけど……。女の子って洋菓子の方が好きだったりするもんね?」
「いえいえ、いいんです! おせんべい美味しいですし」
確かにプリンもカップケーキも大好きだけど、あたしは和菓子もそこまで嫌いじゃない。
あたし、お菓子系で好き嫌いはほとんどないんだ。
「ごめんね、押しかけちゃって」
「いいよ全然。むしろ、俺の方だよ謝るのは。仙谷のメッセージ、返信くらいすればよかったのにな」
ははは、と宇野くんは力なく笑った。