キミに、愛と思いやりを

今度は宇野くんは、歩に向けた。



「ずっと連絡し続けてくれて、ありがとうな」



「ううん、っていうかあんなに連絡しちゃってしつこすぎなかった? ごめんね?」



「いや、そんなことない。けどさ、仙谷のいう通りなんだよな」



緑茶をぐぶっと飲み、宇野くんは考えるような表情をした後に、ふっと笑った。



「いつまでも俺がべそべそしてるままだと、あいつも天国で安心できねえし」



「宇野くん……」



「でも、なら良かったよ」



歩は、宇野くんの様子を見て安心したように言った。



「焦らないで、ゆっくりでいいと思うよ。焦って無理やり早く立ち直ろうとしたら、それは自分の気持ちを封印して、余計元気がなくなっちゃったりしても明くんは心配しちゃうだろうし」



「……そうだよな」



宇野くんは何度も頷きながら優しい目で、男の子達の写っている写真を眺めた。



「本当にさ、小園さんと仙谷のおかげで、俺もみんなも助けられた」



「僕らだって助けられたよ。だって、あの時宇野が何もしてなかったら、僕は今、花蓮の隣にいなかったかもしれないから」



歩はそう言いながら、あたしの背中に手を添えた。



「歩……」



「俺が、おまえの彼女の壁に寄りかかりすぎただけだって。でも、本当にありがとう、小園さん」



あたし達の周りの空気は、湯気がたった緑茶のようにあたたかかった。




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