キミに、愛と思いやりを

1週間が経ち、あたしと歩と宇野くんは墓場へ行った。
石に、『高杉 明』と毛筆のお手本のようにキレイに書かれてある。



「明、本当にありがとな。おまえと会えて、俺は1ミリも後悔なんかしてない。俺のこと、あんま心配しないでいいからな? 俺は元気でやるから」



お墓に、宇野くんはそう優しく語る。


まだ少し涙が浮かんでいるように見えるけど、懸命に堪えて伝えたい事を頑張って伝えようとしている。



「明くん、今ごろ天国で『こちらこそありがとう』って言ってくれているね」



「うん、きっと!」



歩の言葉に、強く頷くあたし。
その様子をはっとした目で見る宇野くん。


そうだよ、明くんは宇野くんに対して感謝しているに決まっている。
だって宇野くんの様子を見る限り、2人は絶対に仲のいい友達だったんだから。


それに宇野くんは天国で、大切な人がもう1人いるはずだよね。



「それに、これからも宇野くんはお父さんにも見守られていくんだね」



そう、お父さん。
お父さんは、こんなに大きくなった宇野くんを見て嬉しくないわけない。



「父ちゃん、か……」



宇野くんは、空を見上げた。


その時、宇野くんのズボンのポケットから小さな男の子とお父さんらしき人が写った写真が落ちたけれど、あえてすぐには言わないでおいた。




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