キミに、愛と思いやりを

「メッセージカードも見てよ」



僕がそう言うと、赤いリボンに添えられたメッセージカードを見て花蓮は肩をビクッと震わせた。


そこに書かれたのは、



『あなたが運命の人です』



という一言のみ。


1本のチューリップの花の意味が、『あなたが運命の人です』ということなんだと花蓮は思っているだろうけど、それだけじゃない。


もちろん本心。



「歩……! これって、チューリップの……」



ほらね、やっぱり花蓮はそれだけだと思っているような顔をしている。


じゃあ、こうしたら分かるかな。
僕は花蓮の後ろへ行き、ぎゅっと抱きしめる。



「えっ……。歩……!」



「誰もいないよ」



少し戸惑う花蓮に、僕は小さく笑いながらそう言った。


僕は顔を花蓮の耳に近づけ、



「これからも、僕の運命の人でいてね」



と囁くと花蓮は、くすぐったそうに身をよじらせた。



「これで、わかった? メッセージカードは、僕の本心だってことに」



視界の端っこには、ピンク色のハート形をしたイルミネーションがキラキラと光っていた。





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