キミに、愛と思いやりを

「そういえば、夏の花はいつ植えるの? 僕、下校中に見てきた。結構あったよ」



仙谷くんは、あたしの代わりに見に行ってくれていたんだ。だから、制服姿だったのか。



「チューリップが散ったら」



「チューリップ? 小園さんの庭にチューリップが咲いてるの? 僕も毎年植えてるよ」



あたしが俯き加減で言うと仙谷くんは、声を張り上げた。



「あの! 今年は受験だからもう無理だけど来年の秋に、あたしとあなたの庭に、チューリップの球根、植えない?」



ぎょっとした。あたしの口が勝手に動いていた。何、突拍子のないことを言ったのだろう。


仙谷くんを見ると、そっぽを向いていた。絶対に変だと思われたに違いない。



「君が、来年になってもその気持ちが変わらないんだったら」



オレンジ色の夕日の下。
そんな光に当たってオレンジ色の頰をした彼は、決まり悪そうに言った。


照れているように見えるけれど、あたしには、彼の気持ちが理解できなかった。




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