キミに、愛と思いやりを

朝食を食べ終えた後に私は、愛香の髪をピンクの花の飾りがついたゴムでツインテールに結った。


そういえば、私も子供の頃は母に二つ結びにしてもらっていた。


ピンクの花のゴムは、愛香のお気に入りだ。



「はい、出来たわよ。お外、行く?」



「うん! おにわ、はやくみて!」



「お庭?」



唖然としている私を置いて、愛香はスタスタと外の方へと行ってしまった。



「ほら、見てみてよ!」



愛香が指差した場所を見ると、昨日までは何も咲いていなかった庭に、ピンク色のチューリップが一輪咲いていた。


緑色のカーペットの上、ピンク色の春の輝きがひとつだけでも、大きく強く光っている。



「パパもきてー! パパー!」



愛香の声で、彼もサンダルを履いて庭にやってくる。



「ピンクのチューリップが咲いてる! やったね、愛香!」



「うん! やったー!」



歩は愛香を抱き上げて、ぐるぐると回した。




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