キミに、愛と思いやりを
「あしたは、なにいろのチューリップがさくかなぁ」
人差し指を頬に当てながら、愛香が言った。
「そうね。ピンクのチューリップがこんなに綺麗に咲いたから、綺麗な色のチューリップが咲くといいわね」
チューリップの硬い葉に触れながら、私は言った。
「うん!」
「今日も水やり頑張ろっか! ママと愛香で、チューリップいっぱいのお庭にするんだものね!」
「うん! おにわを、おやゆびひめのおうじさまがいた、おはなのくににするの!」
「うん、パパも頑張るぞー」
「ふふっ。でも、お庭をお花の国にするのは、ちょっと無理かなぁ」
「むりじゃないよ! あいか、おやゆびひめ、だいすきだもん! がんばれば、きれいなおはなのくににできるもん!」
粘り強い愛香の発言に、私は笑いそうになった。
「そうだよなー。絶対できるもんな、お花の国!」
全く、歩はすぐに愛香の話に乗る。
「うん! ぜったい、できる!」
「もう、2人とも!」
私達が笑うと、春風がふわりと吹きチューリップがなびく。
まるでチューリップも一緒に笑ってくれているようだった。