キミに、愛と思いやりを

卒業式


月日は流れるように過ぎて、中学校の卒業式の日がやってきた。


涙をハンカチで拭きながら、あたしは下校しようとすると、



「小園さん!」



という声に呼び止められた。



「仙谷、くん……!」



仙谷くんは、小さな紙を片手にあたしのそばに立っていた。



「今年の秋……」



彼は静かな声で、あたしの顔をしっかりと見つめる。あたしも、彼をしっかりと見つめた。



「君の気持ちが変わらなかったら……。11月の2日に」



『11月2日』と書かれてあり、チューリップの絵までついた、可愛い紙をあたしに渡した彼。



「気持ちが変わらない時には、11月2日にまた会おう」



「うん! 待ってるからね!」



花が綺麗に咲いたように、彼は最後まで美しい笑みを浮かべていた。




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