キミに、愛と思いやりを
「かれーん!」
鈴の音のような、くっきりした声が聞こえた。声の正体は、見ていなくても分かっている。
「麗羅!」
「久しぶり、花蓮!」
つぶたな瞳を月の形にしてから、麗羅はあたしに飛びついてきた。
麗羅とまたおそろいになった制服。セーラー服ももちろん似合っていたけれど、ブレザー型もよく似合う。
いつだって可愛く綺麗な麗羅は、どんな制服も似合うんだなと思う。
それに麗羅も、髪型は中学の時と変わらずサイドテールだ。明るい性格が見た目にも現れていて、いい感じだ。
「久しぶり!」
「これでまた3年間、同じ学校ってことになるね!」
「うん! 同じクラスだと、もっといいなぁ」
いつも明るい麗羅の声は、今日は更に明るくはずんで聞こえた。
「花蓮」
声がしたので振り向いてみると、黒い服を着たお母さんが近づいてきた。
「あっ! お母さん」
「お久しぶりです、花蓮のお母さん」
麗羅が、お母さんにお辞儀をした。
「麗羅ちゃん、久しぶり。ブレザー型の制服、とっても良く似合ってるわ。花蓮と一緒に写真、撮ってもいい?」
「もちろんです!」
お母さんがスマホを鞄から取り出した。