キミに、愛と思いやりを

入学式の終わりに、あたし達は教室に入った。



「ふー、やっと終わったねー! もう疲れたー」



隣を歩いている麗羅が背伸びをしながら言った。



「うん、あたしも疲れたよー」



そう言って、あたしもはぁ、と息を吐いた。



「校長先生の話、まじで長すぎじゃない?」



「一体あれだけでも何分かかったんだろうね」



新しいクラスメイトの人達も、会話に夢中になっている。どの人も今日が初めて見た人ばかりだ。もちろん麗羅のことは大好きだし、高校でもずっと仲良くしたい気持ちはあるけれど、初対面の人とも仲良くなりたい。



「ところで、入学記念に何かしたいよね」



「そうだね! そしたら、この疲れも取れそー!」



そう言っている割に、もう麗羅は疲れていなさそうだ。けれど、今更中止にすることなんてできない。



「何しよっか?」



「うーん……。デパートでプリクラ撮る?」



「あっ! それいい! じゃあ、約束だよ」



何気ないことを思いついてしまったけれど、麗羅が嬉しそうで本当に良かった。去年は、受験でプリクラどころじゃなかったからだろう。


あたしも、麗羅と久々にどこかで遊びたいと思っていた。




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