キミに、愛と思いやりを

クレープを受け取って、あたしと麗羅は椅子に座って食べ始めた。



「ねえねえ花蓮。そういえば、今年の春って花蓮の庭にはチューリップがないんだよね?」



マンゴーが入ったクレープを食べながら、麗羅が聞いた。



「そうなの! お母さんが中3の秋からガーデニングはなしだって言うから!」



あたしも相槌を打ちながら、いちごと生クリームを同時に飲み込んだ。
いちごと生クリームといちごアイスが入ったクレープは、あたしの大好物だ。



「そっかー。やっぱりしょうがないよね。でも花蓮にとって、チューリップがない庭って寂しい?」



あたしがチューリップが大好きなことをよく知っている麗羅は、心配するように聞いてくれた。



「うん、寂しい。だけど、またガーデニングできるようになるから!」



あたしが麗羅に精一杯の笑顔を見せると、麗羅も負けないくらいの笑顔を見せてくれた。



「ああ、そうだよね! そしたら、また花蓮の庭は、花でいっぱいになるね!」



「うん!」



あたしは、大きく頷いた。




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