キミに、愛と思いやりを
家の鍵を外して、あたしはドアを開けた。
「ただいまー!」
「おかえり。麗羅ちゃんとの久しぶりのお出かけ、楽しめたみたいね」
お母さんが、にこにこしながら言った。
『楽しかった?』ではなく、『楽しめたみたいね』か。満面の笑みで帰ってきたものだから、そりゃあ楽しめたことが丸わかりだろうな。
「ちょうど夜ご飯できたわよ」
テーブルに、カレーが置いてある。
「うん!」
「そういえば、お父さん、今日は早く家を出たから、花蓮の制服姿、見られなかったわよね」
口に入れたカレーを飲み込んで、お母さんは言った。
「ああ、そうだよね。でもなんで?」
「だってお父さん、花蓮が高校合格した時、すごく喜んでたじゃない」
それは確かにそうだった。