キミに、愛と思いやりを

受験が合格したことが分かったあたしは、家に飛んでいって、



『ただいま! お母さん、お母さん!』



と、お母さんの方へ走った。



『おかえり、花蓮。そんなに慌てて、どうしたの?』



雨が降っていたので、室内に干してあった洗濯物を取り込みながら、お母さんは聞いた。



『あたし、合格したよ!』



洗濯物を取り込んでいたお母さんの手が、ぴたっと止まった。



『本当に!? すごいじゃない! よく頑張ったわね!』



抱きしめながら、精一杯褒めてくれたお母さん。



『お父さんにも絶対報告しないとだわ』



『うん! お父さん、早く帰ってこないかな』



中3だったので思春期真っ只中だったあたしも、この時は早くお父さんに会いたい気持ちでいっぱいだった。




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