キミに、愛と思いやりを
仙谷くんの名前が出てきて、思わずあたしは息を呑み込んだ。これじゃあ、『うん』と言っているようなものだ。
「あー、やっぱり」
あたしの反応を見て、彼女たちは頷き合っている。
……とりあえず、ここは名前を言っておいた方がいいよね?
「仙谷くんと同じ中学に通ってました、小園 花蓮っていいます」
あたしは、軽く頭を下げた。
「ふーん。同じ中学……か。そんで名前は、小園 花蓮ちゃん……ねぇ」
中央にいる女の子が、納得するように言った。
「えーっと……」
「ああ、あたし達3人は同じ中学でね。まあ、高校に入学して仙谷くんに会ったんだけど」
あたしが戸惑っているのを見てとった彼女は、そう付け加えた。
「は、はあ……」
「もう、他の男子たちと格が違いすぎて。みんな、うるさいし、めんどいし……」
相変わらず真ん中の子が言うと、両サイドの子達も、うんうんと頷く。
「仙谷くんみたいな、ああいう王子さまみたいな人がいるなんてびっくりだったのよー」
真ん中にいる彼女は、相変わらず喋り続ける。
するとまた、両サイドの子たちは、そうそう、とはやし立てた。