キミに、愛と思いやりを
「あ、そういえば名前がまだだったね。あたし、流川 真凛(るかわ まりん)」
この人が仙石くんが前に呼んでいた、あの“流川さん”だったのか。
「あたし、木山 直美(きやま なおみ)です」
「月島 莉緒(つきしま りお)です」
木山さん、月島さんも軽く頭を下げる。
「あの、流川さん」
「真凛でいい、他の2人も直美と莉緒でいいから」
「真凛ちゃん、直美ちゃん、莉緒ちゃん。あの……その……ごめんなさい!」
あたしは叫ぶように言いながら、深々を頭を下げた。
が、3人とも何も喋らない。
「……ん? なんのことで、謝ってるの?」
莉緒ちゃんが、すっとんきょうな声を出した。
もしかして、あたしがああやってじっと見ていたことに関して、3人は何とも思っていなかったの?
「いや……。あんな風に見て、みんな嫌な思いしてるだろうなって思って」
「なーんだ、そんなこと気にしてたのか!」
直美ちゃんが、安心したように笑った。
「え?」
「別に、そんなことで怒りに来たんじゃないよ」
じゃあ、何のためにわざわざここまで来たんだろう。