キミに、愛と思いやりを

気がつけば、もう周りには誰もいなかった。
ひとっこ1人いないどころか、猫一匹すら見かけない。


さっき、真凛ちゃん達の言っていたことが今考えても全く理解できないや。


でも、はやく帰らないと。


あたしはそのまま、首を傾げながら歩いた。



「小園さん? 久しぶり!」



爽やかで優しい声が聞こえて、顔を少し上げると、彼の顔が見えた。



「仙谷くん!」



いや、いきなり登場!?



「ここで、一体何をやっていたの?」



「ああ、ちょっとね……。まあ、色々考えてた感じかな?」



冷や汗をダラーッと出しながら言うあたしに彼は、そう、とだけ言った。



「あそこの高校に通ってるんだ……。僕が通っているところとすごく遠いってわけじゃないね」



仙谷くんがそう言いながら見ている校舎からは先輩らしき人たちが、出ていくのが見えた。



「そうみたいだね……」



なんていうか、今日いっぺんに色々なことがありすぎでしょ。


彼と同じ高校に通っている女の子達に話しかけられるわ、そしていきなり仙谷くんと再会するわ……。


さすがのあたしも、色々びっくりしすぎて疲れる。


力なく笑うしかない。




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