キミに、愛と思いやりを

「花蓮、まだいたの? 水やりが終わったなら、早く行きなさい」



表玄関のドアが開いて、お母さんが顔を出した。確かに、もう学校に行かなきゃ間に合わない。
あたしはジョウロを置いた。



「はーい。行ってきます!」



「行ってらっしゃい。気をつけてね」



お母さんの声を背中にして、あたしは小走りで学校へ向かった。春風がスカートを揺らす。


外は、花でいっぱいになっている。
撫子やネモフィラが春の光を浴びて、きれいに咲いている。


学校に着くと、スイートアリッサムが咲いていて、すっかり春らしくなっていた。小花がたくさん咲いていて、小さな小さな花束を飾っているみたい。


ピンク色に染まった雪のように、桜の花もちらちらと舞っていた。
あたたかくて、春風が花の香りを運んでいる。




< 5 / 167 >

この作品をシェア

pagetop