キミに、愛と思いやりを

「花蓮ちゃん」



後ろからやってきたのは、直美ちゃんと莉緒ちゃんだった。



「直美ちゃん、莉緒ちゃん」



「あのね、どうしてあんなに仙谷くんと一緒にいたのかっていうと、ああいうこと」



さっきまで仙谷くんと真凛ちゃんがいたところを指差しながら、直美ちゃんが言った。



「ああいうこと?」



「真凛、一目惚れしたんだって」



あたしと同じような感じで、真凛はときめいたってことなんだね。



「真凛ちゃんが仙谷くんのことを好きだったからってこと……?」



「うん、そう。真凛ってね、小さい頃から男子と2人っきりになるとよく冷やかされてたの。すっごいモテてたから」



真凛ちゃんは美人だからね。
モデルみたいに背が高くて、ビー玉みたいな綺麗な黒い瞳、つやつやした長い髪……。
モテるっていうのも納得だ。



「真凛は、そんな風に冷やかされたりするのが、すっごく嫌だったの……」



それは、すごく分かる。


あたしだって冷やかされたくないし、中学時代似たようなことがあったのだ。


あの宇野くん達に告白されて、あたしが振ったことがあんなに噂された時はいい気分じゃなかったもの。




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