キミに、愛と思いやりを

校舎に入って靴箱を見ると、あたしの上履きの中に小さな手紙が1枚入っていた。


何なの。いたずらだったら、先生に言いつけるよ。


眉間にしわを寄せながら読むと、『放課後、教室に最後まで残っていてください』と書かれてある。


あたしは、とりあえず手紙をバッグの中にしまって、教室に向かった。



「あっ! おはよ、花蓮! チューリップはどう?」



教室に入った途端、あたしに話しかけてきたのは、服部 麗羅(はっとり れいら)。あたしの幼なじみであり、大切な親友。

幼稚園も小学校も一緒で、今は部活も一緒。


麗羅は、あたしが10月ごろになるとほとんど毎年チューリップを植えることを知っている。



「おはよう麗羅! 朝起きてみたら、全部綺麗に咲いてたの!」



「良かったね!」



麗羅はひまわりみたい、といつもあたしは思う。肌は綺麗に焼けていて、笑顔は明るくて、目は大きな茶色だ。




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