キミに、愛と思いやりを

「花蓮ちゃん。仙谷くんと付き合ったんだってね」



下校中、今度は真凛ちゃんにそんなことを言われた。



「あれ、知ってるの!?」



もしかして、歩が喋ったのかな?
なんて頭によぎったけれど、



「仙谷くんと付き合うなんて、花蓮ちゃんしか考えられなくて」



と真凛ちゃんは言った。



「やっぱり花蓮ちゃんには負けたなぁ」



真凛ちゃんは、残念そうに笑った。



「そんなこと言わないで? 真凛ちゃんは、本当にすごいと思う。あたし、歩に告白されたけど、真凛ちゃんは自分からしたんでしょ? そんな勇気があるなんてすごいよ」



きっと、あたしじゃあ真凛ちゃんを完全に元気にしてあげることはできないと思う。


けれど、今言ったことは全部本当のこと。
真凛ちゃんは、本当に強い子だってわかった。



「でもあたし、最低なことしたと思ってるもん。やっぱり、あたしよりも花蓮ちゃんの方が仙谷くんのこと幸せにできるよ」



「最低なことじゃないよ? 真凛ちゃんは、あたしと同じ。好きな人に対して一生懸命だっただけ」



そう、真凛ちゃんはあたしと同じ歩に好意を寄せていた人間の1人。



「大事にしてあげてね!」



真凛ちゃんの言葉に、あたしは大きく頷いた。




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