キミに、愛と思いやりを

放課後、あたしは手紙通りに最後まで教室に残った。



「こ、小園さん!」



複数の声がして、見てみると1人の男子が教室に入ってきていた。あたしは、その人のことをよく知っている。


同じクラスの、サッカー部の部長の宇野 翔太(うの しょうた)くんだ。
あと知っていることといえば、確かお父さんを早くに亡くし、下の兄弟の子がいる。


つまり、宇野くんはその子達のお父さんがわりということなんだよね。



「あたしの上履きに手紙入れたのって、宇野くんなの?」



あたしが聞くと、彼は頷いた後に、



「好きです!」



と、その言葉を発した。
……ように聞こえたんだけど本当なのかな?


あたし、まさかもう難聴になった訳じゃないよね?



「俺、小園さんが本当に好きです。付き合ってくれませんか?」



宇野くんは、真剣な目をまっすぐあたしにむけた。


さっきの言葉は、聞き間違えじゃなかったんだ。あたしは、まだ難聴じゃないということだ。
嗚呼、良かった。




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