キミに、愛と思いやりを
「はい、できたよ!」
そう言って麗羅は、手鏡をあたしに渡した。
あたしは鏡で自分を見て、一瞬、これが自分じゃないように思えた。
すごい、すごい、すごい。
唇は、薄いピンク色なのは変わっていない。いや、全然違う。艶やかに光っている。
唇だけじゃない。チークもうっすらとピンク色になっている。
目も、なんだかテレビによく出ているモデルや女優のように綺麗になっている。
「す、すごい……」
「花蓮、ノーメイクでも充分可愛かったけど、メイクするともっと綺麗になって大人っぽくなったよ! 予想通り!」
親指を立てて、麗羅が言う。
「麗羅、ありがとう、本当にありがとう!」
「いいって! デート、楽しんできてね」
麗羅がウインクをして言った。
……と思ったら。
「あっ、花蓮待って!」
「何?」
「そのワンピース、ほんとにかわいく似合ってるから、くれぐれも仙谷くん以外の男にときめかれたり、彼がキュン死にしないよう気をつけてよ!」
麗羅のこの一言で、あたしの恥ずかしさはとうとうマックスに達した。
「麗羅、恥ずかしいよ……! 歩は絶対に死なないから!」
あたしは麗羅にそれだけ残して、いそいでデートの場所へ行った。