キミに、愛と思いやりを

_____ドスンッ!


歩のことを考えながら歩いていて、あたしは何かとぶつかってしまった。



「うおー、びっくりした! 大丈夫か!?」



……まずい、電柱ならまだしも人だったか。


顔を上げてみると、知らない男の人が何人か立っていた。



「す、すみません!」



「あー、大丈夫だよ!」



「え、待って? やっばい! この子、超かわえーじゃん!」



もう1人の男の子が、そう言いながらあたしに近づいてくる。


口元は笑みの形になっているけれど、彼もサングラスをかけているので、どんな表情をしているのか分からない。



「ちょっと、君! 名前教えて?」



「どこの学校?」



「空いてる? よかったら、うちに来ない?」



「一緒に遊ぼうよ!」



思わず数人の男の子から、ずずずーっと詰め寄られてあたしは後ずさった。



「いいじゃん、行こうよ!」



「ジュース奢ってあげようか?」



「好きなお菓子あるんだったら、それも買ってあげられるよ! どっかで話そうよ」


ど、どうしよう?
逃げられない。


でも、うまくやらないと捕まっちゃうよ。



「何してんですか」




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