キミに、愛と思いやりを
「ねぇ、宇野くん。どうしてこんなことになっちゃったの?」
宇野くんが何かいう前に、あたしは思わず聞いてしまった。
「うちさ、母親の体調が悪くって」
重い口を開きながら、宇野くんは言った。
「小園さんも知っていると思うけど、俺、父親がいないんだよね」
「うん、知ってるよ」
「そっか。なら話が早いや。父ちゃんがいなくなって、母ちゃんは自分の体がすっげー弱くても身を粉にして働いて。とうとう限界が来て、病院で入院しなくちゃいけなくなったんだ」
こくこく頷きながら、宇野くんはそう言った。
「そ……んな……」
そんな、大変な状況になっていたんだ……。
「しかも、俺、弟が2人いるんだ。今はまだ小学2年生で。俺のバイト代で、とりあえず食わせているけど、あんまりうまくいかないんだよ」
「そう……だったんだ……」
あたしは絶句した。
どれくらい大変か、となるとあたしには図れない以上だろうな。
あたし、これは知らん顔なんてできない。