キミに、愛と思いやりを
「兄ちゃん! 母ちゃんは?」
宇野くんの家に入ると、ドタドタ足音が聞こえて、晴翔くんと来翔くんがやってきた。
「母ちゃん……まだ退院はできないって」
「次のお見舞いは?」
「お見舞いはこれからも定期的に兄ちゃんが行くから、安心しろ」
「兄ちゃんだけ、母ちゃんに会えるとかずるいよ!」
「そうだそうだ! オレたちだって、母ちゃんに会いたい!」
晴翔くんと来翔くんが一斉にぶうぶうと文句を言った。
また始まった、と言いたげな顔をして、宇野くんは2人に、
「お前ら、母ちゃんは病気なんだぞ? お前らは病気の母ちゃんの前でおとなしくいられんのか?」
と呆れ気味で言った。
「いられる!」
「まあまあ、今度晴翔くんと来翔くんも連れて行ってあげようよ。2人とも、お母さん好きだもんね?」
「うん! 母ちゃん、大好き!」
「好きだよ! 母ちゃん、優しいんだ!」
あたしがなだめても、宇野くんはまだ納得していない顔のままだ。
「絶対おとなしくしろよ? 病院でうるさくしたら、もう絶対母ちゃんに会わせないから。いいな?」
「うん!」
さすが双子、といいたくなるくらい晴翔くんと来翔くんは同時に返事をした。