キミに、愛と思いやりを
翌日。
なんとかあれは何かの間違い、と言い聞かせて僕は下校した。
あっ、花蓮がまた誰かと一緒に歩いている。
「昨日もありがとう、小園さん。毎日うちで飯作らせちまって……」
やっぱり。
あの声は宇野だ。
また宇野と一緒に歩いている。
今度はなんの話だ。
「そんなっ……。いいんだよ。今日だって、ご飯作らないといけないし。今日は、なに食べたいかなぁ」
「毎日家に来て、苦痛じゃない?」
「そんなことないよ!」
毎日家に来ている?
花蓮は、一体宇野と毎日そんなに一緒にいて僕の知らないところで何をやっているんだ。
なんで僕に何も言わないんだよ。
ご飯を作ったり、お母さんのお見舞いに付き添ったり……。
どういうことだ。
『花蓮は僕だけの恋人なのに……』
そうだ、花蓮は僕だけの恋人のはずだ。
他の誰の恋人でもないはずだ。
『花蓮よりも一緒にいたいと思ってる人なんていないよ』
あの気持ちは、僕からしたら本物なのに。
『あたしだって』
あの気持ちは、本物なのか?
それとも……偽物なのか?