アンバランスな苦悩
「マンション
引き払わなくいいのか?」
俺は母親に聞いた
持家のマンションとはいえ
もう誰も住まない
両親は
イギリスに移住するつもりだろう
父親の努めている会社は
日本に支社はあるものの
本社はイギリスだ
日本で生活する気は
父親にはないと思う
もしかしたら大学を卒業した
光汰が戻ってくるかもしれないが
そのまま地方の会社に務めるかもしれないし
帰る家がなくても
やっていける
俺だって
同じだ
「瑛汰が寂しくなって
帰る場所がなかったらどうするの?
光汰は心配ないけど
瑛汰は心配よ」
「俺かよ!」
「兄貴って
女に振られるたびに帰ってきそう」
「そうそう
それでスーちゃんに甘えるの」
マコが光汰の話にのる
「んでスーちゃんにも
振られて
実家で一人泣くんだよ」
光汰がまた口を開く
「一人でさびしいからって
私に電話しないでよ」
マコが冷たく言う
「最低だな、俺」
「最低だよ」
マコが返事をする
空港につくと
母親は笑顔で
出発した
「つらくなったら
いつでもすみれちゃんと一緒に
イギリスに来なさい」
小さな声で
お袋は俺に囁いた
どうにもならなくなったら
イギリスに行くよ
そうならないように
努力はするけどね
引き払わなくいいのか?」
俺は母親に聞いた
持家のマンションとはいえ
もう誰も住まない
両親は
イギリスに移住するつもりだろう
父親の努めている会社は
日本に支社はあるものの
本社はイギリスだ
日本で生活する気は
父親にはないと思う
もしかしたら大学を卒業した
光汰が戻ってくるかもしれないが
そのまま地方の会社に務めるかもしれないし
帰る家がなくても
やっていける
俺だって
同じだ
「瑛汰が寂しくなって
帰る場所がなかったらどうするの?
光汰は心配ないけど
瑛汰は心配よ」
「俺かよ!」
「兄貴って
女に振られるたびに帰ってきそう」
「そうそう
それでスーちゃんに甘えるの」
マコが光汰の話にのる
「んでスーちゃんにも
振られて
実家で一人泣くんだよ」
光汰がまた口を開く
「一人でさびしいからって
私に電話しないでよ」
マコが冷たく言う
「最低だな、俺」
「最低だよ」
マコが返事をする
空港につくと
母親は笑顔で
出発した
「つらくなったら
いつでもすみれちゃんと一緒に
イギリスに来なさい」
小さな声で
お袋は俺に囁いた
どうにもならなくなったら
イギリスに行くよ
そうならないように
努力はするけどね