アンバランスな苦悩
空港からの帰り道
俺たちは
ホテルに立ち寄った

「ねえ
そういえばさ~

兄貴と約束したよね?」

「何を?」

「デート代を払うって」

「ああ
そんな話もしたな」

スミレとの交際に
光汰が母親と話をしてくれた

そのお礼に
デート代を払うって
約束をしていたのを思い出した

「それ今日のでチャラってことで!」

光汰が言う

「食事だけでいいのか?」

「僕、食事だけって言ってないよ」

「は?」

「ホテルの部屋とってきてよ
僕とマコ姉で一部屋

兄貴とスーちゃんで一部屋ね

いいでしょ?」

「いいけど…
本当に?」

「反対意見の人はいる?」

マコのスミレも
反対はしなかった

むしろ
嬉しそうに頷いていた

「じゃ
部屋をとってくるから」

俺は席を立つ

「兄貴、良い想い出にしよう」

光汰がほほ笑んだ

「ったく
どいつもこいつも
世話焼きが多いんだよ」

俺は笑った

でも心が痛かった

スミレとの別れが近づいている

そう強く痛感した
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