アンバランスな苦悩

「スミレは自分の母親を
憎んでいる？」

「瑛ちゃんは
お母さん、覚えてるの？」

忘れるわけないさ

スミレやマコには
内緒だけど

二人の母親である桜さんから
連絡がある

「お菓子
よくもらったから」

「お母さん、格好良い男には
目がないからね～

そっか
瑛ちゃんは、お母さんに可愛がられたか」

マコは過去の記憶を思い出し
何度もうなずいていた

「スミレは
憎んでいる
すごくね

パパっ子だったら
余計だと思うよ」

「マコは？」

「格好良い男に
惚れる気持ちはわかるな～

でも理性を保てなかった
母親は嫌いだよ」

「そっか」

「え？
もしかして
瑛ちゃん、お母さんを好きだったとか」

「あ、バレた？
初恋だったんだよな～

…なんてな

綺麗な人だとは思ってたけど

マコとスミレの母親って目で見てたから」

「ふうん
なんか、怪しい

中途半端な瑛ちゃんの冗談って
裏に何か
隠してるよね？」

マコの声のトーンが
下がった

腕を組んで
俺の顔色をうかがってきた