アンバランスな苦悩

谷山 桜との再会

「久しぶり、瑛ちゃん」

カフェのテーブル席に座った
瑛汰に

スミレとマコの母親である
谷山桜がにっこりとほほ笑んだ

「急に
呼び出さないでいただけますか?」

「瑛ちゃん、冷たい
たまたま近くに来る用事があったからぁ」

瑛汰の隣に
椅子をくっつけると
桜が
瑛汰の手を握った

「マコやスミレが同じ学校いるって
知っているんですから

俺を誘う前に
二人に連絡したらどうですか?」

「いやよ
あの子たちは
私のことを理解してないもの」

「俺も
理解してませんから」

「でも
来てくれた

瑛ちゃんは優しいね」

「べつに
来ないと光汰に接触するんでしょう?

俺を脅しておいて
優しいはないでしょう?

忙しいので
要件は早めに」

「要件だなんて
わかっているでしょ?」

「彼氏はどうしたんですか?

結婚まで考えていた人が
いましたよね?」

「別れたわ
あの人も
私の気持ちを理解してくれてない」

誰も
理解できないよ

理解してもらおうと
思うのが

そもそも間違っている

そういう考え
俺は嫌いだ
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