アンバランスな苦悩
「何してるの?」

ベッドで疲れている
桜さんが
声をかけてきた

「着替えています」

「それは見れば
わかるわ

服、新しいのを
買っておいたって
言ったじゃない

それを着れば
いいのに」

「服はいりません
今日は
もう帰ります」

桜さんの家には
泊まりたくない

自分のベッドで
休みたい

「帰るの?
スーツも買ったのよ

気にしないで
泊まっていきなさい」

「母が心配するので
帰ります」

「なら
家まで送るわ」

「いえ
近いし歩いて
帰れます」

ジャージを着て
俺は
帰り支度を始めた

ベッドでまだ横に
なっている桜さんに

挨拶もせず
マンションを出た
< 48 / 114 >

この作品をシェア

pagetop