アンバランスな苦悩
「おかえり
瑛ちゃん」

玄関のかぎを開けようとすると
スミレが家のドアを開けた

もしかして
俺が帰ってくるのを
待っていたのだろうか

何時に
帰ってくるか
わからない
俺を
家のドアを見つめながら

待っていたと?

「どうした?」

「あれだけじゃ
納得いかないから」

スミレが泣きはらした目で
口を開いた

家に帰って
ずっと泣いていたのか

腫れた瞼が
俺の心を刺激する

俺は
桜さんから

みんなを守らなくては
いけない

だから
スミレへの気持ちを
押さえなくていけないんだ

「きちんと
話がしたいよ」

スミレの声が
小さかった

「話すことは何もないよ
夕方に言った通りだから」

俺はドアに鍵を差し込んだ

「納得いかないよ」

「俺は納得してるから」

「部屋で待ってるから
着替えたら
来て

待ってるから」

スミレはそう言って
家の中に入って行った
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