アンバランスな苦悩
「何度言ったら
わかるの?」

そんな怖い目で見たって
俺は怖くない

俺は間違った行動はしてない

だから恐れない
胸を張って

お袋に立ち向かえる

「光汰は
ちゃんと理解してくれたわ

兄である
貴方がきちんとしてくれないと
受験の光汰に
支障をきたすの

隠れて
コソコソと
如何わしいことをしない頂戴」

光汰は理解したわけじゃない

お袋の気持ちを察してあげてるだけだ

受験も大詰めな状態で
揉め事を起こしたくないから

今は母の言うとおりに動くのが
得策だと

逆らわないだけだ

光汰はそういうのが
上手いんだ

俺にはできない
芸当だけど

「如何わしい?」

「お隣さんにきちんと
言うべきかしら?

うちの息子を
快楽の道具に使わないで頂戴って」

「やめろ」

何にも知らないくせに
理解しようとしないくせに

スミレの素顔を見ようともしない
母親に

俺の気持ちがわかってたまるか!
< 6 / 114 >

この作品をシェア

pagetop