アンバランスな苦悩
昔の男
「お前
桜の男だろ」
マンションに入ろうとした俺に
中年の男が
俺の肩を掴んだ
「何か?」
「とぼけるなよ
桜の新しい男だろ?
俺は知っているんだ
こんな若い男に
桜が
騙されて…」
騙しているのは
桜さんの
ほうだろ?
気づきなよ
中年男は
目を見開いている
目を真っ赤にして
俺を睨んでいる
でも
俺は怖くない
恨まれる筋合いなんか
ない
桜さんの本性も気づけず
離れていく心をつなぎ止めて
おけない男だ
この男が
桜さんの思うように動いていれば
俺は
桜さんから
連絡が来なかったのに
俺こそ
この男を恨みたい
「用があるなら
直接
桜さんにしてください
俺には関係ないことですから」
俺は背を向ける
男のカバンが落ちる音がした
嫌な予感がした
とっさに身がまえて
振り返ったが
少し遅かったようだ
何かが
腰に刺さった
痛みが感じなかった
けど
体の中に
何かが
侵入した
腰が熱くて
熱くて
力が抜けた
桜の男だろ」
マンションに入ろうとした俺に
中年の男が
俺の肩を掴んだ
「何か?」
「とぼけるなよ
桜の新しい男だろ?
俺は知っているんだ
こんな若い男に
桜が
騙されて…」
騙しているのは
桜さんの
ほうだろ?
気づきなよ
中年男は
目を見開いている
目を真っ赤にして
俺を睨んでいる
でも
俺は怖くない
恨まれる筋合いなんか
ない
桜さんの本性も気づけず
離れていく心をつなぎ止めて
おけない男だ
この男が
桜さんの思うように動いていれば
俺は
桜さんから
連絡が来なかったのに
俺こそ
この男を恨みたい
「用があるなら
直接
桜さんにしてください
俺には関係ないことですから」
俺は背を向ける
男のカバンが落ちる音がした
嫌な予感がした
とっさに身がまえて
振り返ったが
少し遅かったようだ
何かが
腰に刺さった
痛みが感じなかった
けど
体の中に
何かが
侵入した
腰が熱くて
熱くて
力が抜けた