アンバランスな苦悩
「瑛ちゃんが
酷い男だって
信じられないよ

お母さんがここにいる意味だって
わからないし

なんで
瑛ちゃんが刺されないといけないの?

わからないことだらけで
聞きたいのに


どうせ
誰も
教えてくれないんでしょ」

スミレが悲しい顔をした

「お姉ちゃんだって
瑛ちゃんだって

知っているのに

話す気ないみたいだし」

「私は話してもいいわよ?」

桜さんが意味ありげな笑みを浮かべる

「お母さんからは
聞きたくない

どうせ
都合の良いように
嘘をつくから

真実なんか
わからないもの」

「あら?
スミレが都合のいいように
瑛ちゃんを理想化して

真実をみようとしないだけじゃなくて?」

「違う!」

スミレは
桜さんから目をそらした

「聞く必要なんか
ないわ

見たとおりってことでしょ?

スミレが
不安に思っている通りよ

マコだって何も知らない

知りたいとも
思わない」

「どうして
私は知りたい」

「スーちゃん
裏切られてたのよ?

二人がつい最近ばったり
再会したように見える?

もっと前から
関係があったんでしょ?

それをマコたちに隠して
スーちゃんを
抱こうとしていたのよ

不潔よ」
< 67 / 114 >

この作品をシェア

pagetop