アンバランスな苦悩

誰もマコが
こういう性格だとは知らない

光汰は知ってるだろう

付き合っているんだし

スミレはマコの素を知らない
優しいお姉ちゃん
としか見えていないだろう

マコはスミレを一番に考える

自分勝手に見えるが
マコの一番は光汰ではなく

スミレだ

「瑛ちゃんが
しっかり振舞ってくれないと
スーちゃんの印象がどんどん悪くなるんだけど

プチ家出をやめて
家に帰んなよ

こうしている間に
瑛ちゃんのお母さんが何を考えているわかる？

瑛ちゃんが
スーちゃんに侵されているって思うんだよ？」

「犯されたい！」

「『おかす』の意味が違うの！
真剣に話をして
スーちゃんが
振り向いてくれたからって

天狗になっている場合じゃないの

瑛ちゃんのあ母さんが
私たち姉妹を嫌がっている以上

そこを何とかしないといけないんだよ」

「マコと光汰は
どうなっているんだ？

もう話はついてるんだろ？」

マコは缶ビールをテーブルに置く

「光ちゃんは地方の大学を受けるって
家を出て
ひとりで生活をしてみたいって

だから光ちゃんが
独り立ちするまで
私たちは関係を白紙にしたの」

「は？
マコはそれでいいのかよ」

「いいよ
もともと私は
光ちゃんと結婚する気はないから」