魔法の使い方
「そうそうこのリボン、この前の休日にアデルに買ってもらったの!」

 昼下がりの店。ミーナによる無礼な客の愚痴が一段落したところで、レネが頭のてっぺんを可憐に飾る瑠璃色のリボンを見せびらかす。頭を軽く下げて上目遣いで話すものだから、可愛らしい。

「いやもうリボンよりレネの方が可愛いよ……これで男とか反則……」
「可愛いリボンのおかげだよー」

 レネは瞳をキラキラと輝かせながら新しい装飾品を自慢する。更にフリルをあしらったワンピースのせいで、正に夢見る少女だ。ミーナは彼の性別について、考えることを完全に諦めた。

 夕刻になり仕事終わりの客がぽつぽつと店へやって来る頃。レネは「アデルが心配するから」と店を後にした。
< 18 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop