魔法の使い方
「お帰りなさい」

 日が落ちる頃。店に戻るとユリウスが心配そうに待っていた。ミーナはリボンのこと、場所が路地裏であったことを見つからなかった事実と共に伝えた。

「見つからなかったのだね。事件に巻き込まれていたら私達にはどうしようもないし、王都警備隊に任せるしかないね」
「……私、レネを探して助ける」
「もどかしい気持ちは分かるし、私もそうだけれど、これは一般人では解決できないことかもしれないから」
「……うん」

 こんなとき、一族の者達のように魔法を使えたらとミーナは思う。何もできない悔しさが身に染みた。

「今日はもう上がります。部屋にいますね」

 彼女は静かに言い放ち、フロアに背を向ける。
< 24 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop