魔法の使い方
 自室で魔法書を読み漁るミーナ。机には革表紙の分厚い本が何冊も積み上げられている。

 実は持ってきた荷物のうち、そのほとんどが魔法書だった。一冊ごとが分厚いので、鞄の多くを占めている。


 ミーナは自分から家を出てきたのに、魔法を諦めきれなかった。往生際が悪いと思いながら、持ってきた魔法書に目を通す。

 魔法の呪文や詠唱では魔幻語という言葉が使われる。それはこの世界のどの地域でも話されておらず、類似した言語がない。そのため誰が定めたのか、誰が使っていたのかを知る者はいない。

 レネを助けるために魔法を使えなくては。ミーナは魔法が上手くいかない理由を探すべくページをめくるが、望む答えが見つからない。このままではいけないのに。

「……なんでなの」

 弱音が漏れる。やはり自分には何もできないのか。彼女はかつて自らに押した無能の烙印が、さらに濃く刻まれていく気分だ。

「……私はダメなのかな…………」
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