魔法の使い方
日が完全に落ちた薄暮時、ヴィオルドとドルークはエノテラ通りを足早に歩いていた。
「えーっと、どこでしたっけ。ヴィオルド先輩の知り合いの店」
「『陽歌』ってさっき言ったばかりだろ」
「そうそう、そうでした」
歩く速度と対照的に呑気な会話をしていると、ヴィオルドにとっては見慣れた看板が見えてきた。
ヴィオルドがドアを引くと、聞き慣れたベルが音を鳴らす。ユリウスが彼らを出迎えた。
「いらっしゃい」
「警備隊本部に来たアデライド・インウェスタから聞いた。ユリウスさんの知り合いなんだっけ」
ヴィオルドが早く用件を伝えたいばかりに早口で訊ねる。
「アデライドとその弟であるレネは私の知り合いでね。ミーナとも仲良くしてもらっていたから、なんとしても見つけたいのだよ」
ユリウスは穏やかながらも切実な意思のこもった調子で話した。
そこへ発言するタイミングを失ったドルークが、少々気まずそうに自己紹介を始める。
「あ、えっと俺は警備隊新人のドルークといいます。ヴィオルド先輩と事件の捜査とかをしています。その、レネって子は必ず見つけますんで、あとは俺たちに任せてください」
ドルークが話し終えた頃、唐突にヴィオルドが口を開いた。
「実は俺達、ある組織を追っているんだ。その組織は女児をさらうという情報を聞いていたんだが、確かレネって少年は少女のような見た目をしていたんだよな?」
ヴィオルドはアデライドから得た情報を確認しようとユリウスに尋ねた。それに対しユリウスは神妙な面持ちで答える。
「そう。彼は今日、フリルをあしらったワンピースを着ていたし、女の子と間違えられてもおかしくない」
「じゃあ関連している可能性アリってとこですか。ヴィオルド先輩、どうします?」
ドルークは、レネは男なのに何でまたそんな狙われる格好をしているんだと考えながらヴィオルドに声をかけた。実際その格好のせいで巻き込まれているかもしれないのに。
「とりあえず情報の整理だ。ユリウスさん、少し話そう。もう少し詳しく聞きたい」
「えーっと、どこでしたっけ。ヴィオルド先輩の知り合いの店」
「『陽歌』ってさっき言ったばかりだろ」
「そうそう、そうでした」
歩く速度と対照的に呑気な会話をしていると、ヴィオルドにとっては見慣れた看板が見えてきた。
ヴィオルドがドアを引くと、聞き慣れたベルが音を鳴らす。ユリウスが彼らを出迎えた。
「いらっしゃい」
「警備隊本部に来たアデライド・インウェスタから聞いた。ユリウスさんの知り合いなんだっけ」
ヴィオルドが早く用件を伝えたいばかりに早口で訊ねる。
「アデライドとその弟であるレネは私の知り合いでね。ミーナとも仲良くしてもらっていたから、なんとしても見つけたいのだよ」
ユリウスは穏やかながらも切実な意思のこもった調子で話した。
そこへ発言するタイミングを失ったドルークが、少々気まずそうに自己紹介を始める。
「あ、えっと俺は警備隊新人のドルークといいます。ヴィオルド先輩と事件の捜査とかをしています。その、レネって子は必ず見つけますんで、あとは俺たちに任せてください」
ドルークが話し終えた頃、唐突にヴィオルドが口を開いた。
「実は俺達、ある組織を追っているんだ。その組織は女児をさらうという情報を聞いていたんだが、確かレネって少年は少女のような見た目をしていたんだよな?」
ヴィオルドはアデライドから得た情報を確認しようとユリウスに尋ねた。それに対しユリウスは神妙な面持ちで答える。
「そう。彼は今日、フリルをあしらったワンピースを着ていたし、女の子と間違えられてもおかしくない」
「じゃあ関連している可能性アリってとこですか。ヴィオルド先輩、どうします?」
ドルークは、レネは男なのに何でまたそんな狙われる格好をしているんだと考えながらヴィオルドに声をかけた。実際その格好のせいで巻き込まれているかもしれないのに。
「とりあえず情報の整理だ。ユリウスさん、少し話そう。もう少し詳しく聞きたい」