魔法の使い方
四章
「喉乾いた……」
ミーナは静かに一階の店の部分に入る。客でも来ているのだろうか、声が聞こえてきた。
店のキッチンに入ったとき、客の正体が明らかになった。彼女は降りてきたことを後悔する。
先程のユリウスとのやり取りの後だ、これはミーナにとって都合が悪い。しかしもう目が合ってしまった。不味いものを口に含んだような顔でしぶしぶ彼らに挨拶する。
「こんにちは。この度はご苦労様です」
お疲れではなくご苦労様、これは彼女にとって精一杯の皮肉だった。
「ああ、あんたか。今、レネという少年について話してたところだ」
「あなた達警備隊がきっと大活躍して私のお友達が何事もなく帰って来るのでしょうね」
「……そのために情報収集で来たんだよ」
レネのことと例の組織の関連性がはっきりせず、手がかりはまるでない。仮にその組織が関わっていたとしても、奴らの尻尾は掴めていない。しかも組織の事件に関わっているとなれば、レネは十分に危険な状況だ。
言葉を返したヴィオルドも苦い顔をしている。そんな折り、ドルークが空気を読まずに口を開いた。
「ヴィオルド先輩にこんな可愛い友達がいたんすね。確かに先輩、見てくれだけはいいからモテますけど」
「か、かわいっ? 友達じゃないです!」
「コイツと友達とやらになった覚えはねーよ。あと見てくれ『だけ』ってのは何だ?」
ミーナとヴィオルドは同時に反応した。二人揃って否定したのである。しかしその様子を見て、ドルークはますます仲が良さげに感じる。
「えーっと、『だけ』ってのは言葉のあやというか、違うんです。ってちょっと待ってください、先輩。目が怖いですよ」
ヴィオルドは涼しい表情で広角は上がっているが、目は笑っていなかった。
「そのおしゃべりの手伝いをしてやるよ。ここに一本の剣がある。これでお前の口を裂いてやれば――」
「すいませんでしたぁ!」
ドルークは年下の先輩に急いで謝る。理不尽な気もするが。
ヴィオルドは声音こそ冷静であったが、目は本気だった気がする。
ミーナは静かに一階の店の部分に入る。客でも来ているのだろうか、声が聞こえてきた。
店のキッチンに入ったとき、客の正体が明らかになった。彼女は降りてきたことを後悔する。
先程のユリウスとのやり取りの後だ、これはミーナにとって都合が悪い。しかしもう目が合ってしまった。不味いものを口に含んだような顔でしぶしぶ彼らに挨拶する。
「こんにちは。この度はご苦労様です」
お疲れではなくご苦労様、これは彼女にとって精一杯の皮肉だった。
「ああ、あんたか。今、レネという少年について話してたところだ」
「あなた達警備隊がきっと大活躍して私のお友達が何事もなく帰って来るのでしょうね」
「……そのために情報収集で来たんだよ」
レネのことと例の組織の関連性がはっきりせず、手がかりはまるでない。仮にその組織が関わっていたとしても、奴らの尻尾は掴めていない。しかも組織の事件に関わっているとなれば、レネは十分に危険な状況だ。
言葉を返したヴィオルドも苦い顔をしている。そんな折り、ドルークが空気を読まずに口を開いた。
「ヴィオルド先輩にこんな可愛い友達がいたんすね。確かに先輩、見てくれだけはいいからモテますけど」
「か、かわいっ? 友達じゃないです!」
「コイツと友達とやらになった覚えはねーよ。あと見てくれ『だけ』ってのは何だ?」
ミーナとヴィオルドは同時に反応した。二人揃って否定したのである。しかしその様子を見て、ドルークはますます仲が良さげに感じる。
「えーっと、『だけ』ってのは言葉のあやというか、違うんです。ってちょっと待ってください、先輩。目が怖いですよ」
ヴィオルドは涼しい表情で広角は上がっているが、目は笑っていなかった。
「そのおしゃべりの手伝いをしてやるよ。ここに一本の剣がある。これでお前の口を裂いてやれば――」
「すいませんでしたぁ!」
ドルークは年下の先輩に急いで謝る。理不尽な気もするが。
ヴィオルドは声音こそ冷静であったが、目は本気だった気がする。