魔法の使い方
一章
ミーナが下町へたどり着く頃、ヴィオルド・テネブラーエは顔見知りが経営する小さな軽食屋で昼食をとっていた。この店のあるエノテラ通りは、城下街とまた違った賑やかさがある。
庶民が多いここでは大衆向けの安価な店が建ち並び、行き交う人々の声や生活の音がこだまして独特のハーモニーを作り上げていた。
若くして衛兵であるヴィオルドはほとんどを城下街で過ごしているが、こちらの空気の方が過ごしやすい。まあ一番性に合ってるのは……と食後のコーヒーを啜りながら考えていたところ、一人の娘が目に入った。
絹糸の髪、白磁器の肌、宝石の瞳。しかし重要なのは、その見目麗しい容姿ではない。
地味ではあるがこの辺りでは見ない上等な衣服。だが、上流階級の令嬢なら城下街をうろつくはず。それなのに城下ほど治安の良くないエノテラ通りを付き人を連れずに一人で……しかも、大衆向けの店で食事をとろうとしている。
ヴィオルドは彼女を一般人の小娘ではないと推測した。
庶民が多いここでは大衆向けの安価な店が建ち並び、行き交う人々の声や生活の音がこだまして独特のハーモニーを作り上げていた。
若くして衛兵であるヴィオルドはほとんどを城下街で過ごしているが、こちらの空気の方が過ごしやすい。まあ一番性に合ってるのは……と食後のコーヒーを啜りながら考えていたところ、一人の娘が目に入った。
絹糸の髪、白磁器の肌、宝石の瞳。しかし重要なのは、その見目麗しい容姿ではない。
地味ではあるがこの辺りでは見ない上等な衣服。だが、上流階級の令嬢なら城下街をうろつくはず。それなのに城下ほど治安の良くないエノテラ通りを付き人を連れずに一人で……しかも、大衆向けの店で食事をとろうとしている。
ヴィオルドは彼女を一般人の小娘ではないと推測した。